ギタリストのための機材雑記

ギター歴15年の機材オタクによるエフェクター紹介ブログです

ギブソン レスポールスペシャルの魅力や各ブランドの違いを藤くんと175番違いのヒスコレ持ち筆者が紹介

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レスポールスペシャルは1955年にGibson(ギブソン)から発売されたエレキギターです。当初はジャズミュージシャン、「レス・ポール」のシグネイチャーモデル、レスポールスタンダードの廉価版(スチューデントモデル)としてリリースされました。

レスポール「スペシャル」なのに廉価版なのは、1954年に発売されたレスポールスタンダードの廉価版の「レスポールジュニア」の上位モデルだからです。レスポールジュニアとの違いをご確認ください。

 

 

スペシャル/ジュニア ピックアップ数 ヘッドロゴ ネックバインディング
スペシャル 2基 パールインレイ 有り
ジュニア 1基 シルクスクリーン 無し

 

レスポールスタンダードの廉価版であるスペシャルですが、特に邦ロックのミュージシャンに人気が高く、その影響でレスポールスペシャルがほしいと思っている人も多いのではないでしょうか。 そんなレスポールスペシャルの魅力や特徴、ブランド別の違い等について、ギブソンヒスコレやギブソンレギュラーのレスポールスペシャルを所持していた僕がご紹介します。

シングルカットモデル(SC)とダブルカッタウェイモデル(DC)がある

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シングルカットとダブルカッタウェイのちがい

レスポールスペシャルは大きく2種類のボディ形状があります。レスポールスタンダード同様、ボディ下側だけがカットされた「シングルカット」モデルと「ダブルカッタウェイ」モデルです。


人気なのはシングルカットモデルです。ネックと接触している部分が多いため、太いサウンドで見た目もGoodです。


ダブルカッタウェイモデルは使用している人が少なめでインパクトがあります。奇抜なものが好きな人やハイポジションでのギターソロを弾きまくりたい人にはダブルカッタウェイモデルをおすすめします。

僕はどっちも好きですが、シングルカットモデルしか所持したことがありません。ジョニー・サンダースのレスポールジュニアを見ると、ダブルカッタウェイモデルもイケてるな〜と思います。

重量は軽め

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レスポールスペシャルはマホガニー単板のボディなので、メイプル材でラミネートされたレスポールスタンダードよりも重量が軽いです。(メイプル材は比重が重い)
大体3.2~3.9kgほどなので、ストラト以上レスポールスタンダード未満な重量です。
重すぎず軽すぎないので、ずっと弾いていたくなる心地よさがあります。

ピックアップは基本的にP90を二基搭載

2001年のギブソンカタログ

2001年のギブソンカタログ

レスポールスペシャルは通常シングルコイルのP90を二基搭載しています。
P90はストラト等のシングルコイルとは違い、コイルの巻幅が広くハムバッカー風の太さを持った音色がします。サスティンは短く、パワーがあり歯切れのよいサウンドです。


意外とBUMP OF CHICKENのCDのようなジャキジャキとしたサウンドは出せず、レスポールスタンダードに近い音色です。BUMPの藤くんのような音を出すには、ギター本体の改造に加え高域が出るマッチレスやVOX系アンプを使うと良いでしょう。
また、ギブソンのP90はフロントとリアで出力差が付けられておらず、同じピックアップの高さだとリアの音が小さいです。


僕はセンターピックアップで演奏することが多いので気になりませんが、気になる場合はリアのピックアップを出力が高いP90に変えると良いでしょう。

通常はP90を搭載しているレスポールスペシャルですが、中にはハムバッカーや、縦型のハムバッカーのP100を搭載しているモデルもあります。ハムバッカーモデルはノイズが少なく扱いやすいですが、P90特有のシングルコイル感はありません。


よりハードに歪ませたい場合、ハムバッカーモデルを選択するといいでしょう。(個人的にはハムバッカーモデルのレスポールスペシャルは中途半端な気がしますのであまりおすすめできませんが…)

ボリュームポット

ポッドも重要な要素です。ギブソンのレギュラー品は、抵抗値300Kのボリュームポットを搭載しています。抵抗値は高ければ高いほど高域が出せるので、ストラトキャスターなどのハイが出るギターは250Kのポッドを使用します。


逆に、レスポールなどの甘いサウンドのギターは500Kのポットでハイを出すことでバランスを取ります。レスポールスペシャルに500Kのポットを搭載することでジャキジャキとしたサウンドに近づけるでしょう。

ブリッジはストップバー。改造してバダスブリッジやビグスビーにする人もいる

藤くんのメインレスポールスペシャル

藤くんのメインレスポールスペシャル


レスポールスペシャルのブリッジはストップバーです。オクターブチューニングができないデメリットがありますが、構造がアコギに近いのでナチュラルな生鳴りがします。
また、テンションも緩めなので常に弾いていたくなるほど弾きやすいです。


バーブリッジのままオクターブチューニングをしたい場合はバダスタイプのブリッジに載せ替えるとよいでしょう。バダスタイプはバーブリッジのサイズでオクターブチューニングができるスグレモノです。


また、弦との接点がバーブリッジよりも少ないのでタイトでシャープな音色がします。ジャキジャキな音を目指したい、レスポールスペシャルのテイストを保ったままオクターブチューニングの精度を上げたい場合はバダスブリッジに改造しましょう。

ストップバーの弦高を調整する方法

レスポールスペシャルのブリッジ

レスポールスペシャルのブリッジ

レスポールスペシャルの弦高は2点で支持しているスタッドを回すことで調整できます。


時計回りに回すことで低く、反時計回りに回すことで高く設定できます。ハイポジションでチョーキングしても音がつまらないポイントまでギリギリに下げることをおすすめします。

カラーバリエーション

レスポールスペシャルのカラーはTVyellowと呼ばれる黄色、赤、サンバースト、白、黒、青などがあります。黄色のモデルは王道で、著名なミュージシャンが多く使用しているので中古相場で高くなりがちです。


どのカラーリングもかっこいいですが、リセールバリュー(もう一回売ること)を考えると黄色のモデルがおすすめです。

Gibsonブランドのレスポールスペシャル

本家本元のギブソンから発売されている現行のレスポールスペシャルは、カスタムショップ製ヒストリックコレクションラインのものとレギュラーラインのものが存在します。


それぞれの特徴、違いについてチェックしていきましょう。

ギブソンヒストリックコレクション(ヒスコレ)のレスポールスペシャル

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ヒスコレのレスポールスペシャルは現行品のレスポールスペシャルの中で最高級といえるモデルです。プロギタリストでもこのレスポールスペシャルの使用者が多く、定番のモデルです。


2020年現在、シングルカッタウェイのカスタムショップ製レスポールスペシャルは1957年製リイシューという名前です。これ以前のカスタムショップ製のレスポールスペシャルは、1960年製リイシューでした。

実際には1960年製のレスポールスペシャルはダブルカッタウェイなので、元々のネーミングが間違っていたのでしょう。(おおざっぱなアメリカ企業らしいです。)

カスタムショップ製のレスポールスペシャルは、ビンテージのスペックに準拠しているので3蓮の白ペグクルーソン、極太ネック、バーブリッジ、ポッティングなしのP90を搭載しているスペックです。


ネックの組み込み角度やポッティングの有無、ネックの太さなど様々な要素が影響し他のレスポールスペシャルとかなり違う音です。


僕が今所持しているのはこのモデル。1960年リイシューのシングルカッタウェイレスポールスペシャルです。この1960モデルは時期によって微妙に塗装が異なります。2007年を超えるとTVイエローなのに灰色がかっていたり、黄色が薄かったりしていてなんともいえない残念なカラーなのです。


近年の1957レスポールスペシャルはブライトTVイエローという新しいカラーリングで、しっかり明るい黄色となっています。


やはり灰色がかったTVイエローのクレームが多かったのでしょう。値段は張りますが、とてもいい色です。

ギブソンレギュラーのレスポールスペシャル

レギュラーラインのレスポールスペシャルは日本限定で生産されています。このことからもやはり日本で特に人気のあるモデルだということが伺えます。


レギュラーラインのレスポールスペシャルはカスタムショップ製同様、白ペグ、P90ピックアップ、バーブリッジですが何が違うのでしょうか。


一見同じに見える白ペグですが、レギュラーラインのものは独立した白ペグです。ヒスコレの白ペグは3蓮タイプで、レギュラーラインのものとは異なっています。

ネックはヒスコレが当時のものを再現した極太で、レギュラーのものは最近のプレイスタイルに合わせた薄く握りやすいものになっています。

 

ブリッジは、レギュラー品は凸加工がされており、細かい調整こそできないものの本来のバーブリッジよりもオクターブチューニングが合いやすくなっています。


この様に、単純な上位モデル標準モデルの違いというよりは設計思想が異なっています。僕はとにかく藤くんと同じものがよかったので、ヒスコレのレスポールスペシャルを選びました。

Epiphone、TOKAI、Sonic、momose、Edwards、coolZのレスポールスペシャル

レスポールスペシャルはちょっとクセモノなギターですが、ギブソンにこだわらなければいろんなメーカーから選べます。Gibsonの関連ブランドであるEpiphoneは、2020年に新型レスポールスペシャルをリリースしました。

NAMMSHOWで発表された2020年Epiphone Inspired By Gibson Collectionのレスポールスペシャルは新品価格で5万円を切っていて、スペックが本家レスポールスペシャルに準拠しています。きれいな発色の黄色で、ヘッドも従来のEpiphoneヘッドからブラッシュアップされかっこよくなっています。僕がギターを始めた頃に戻るなら、間違いなくこのギターをおすすめします。

Edwardsのレスポールスペシャルも割高ですがおすすめです。

セイモアダンカンのプロユースのマイクが付いており、電気系統にこだわって制作されています。

日本製にこだわるのならばcoolZやTOKAI、モモセ、SONICもあります。

TOKAIやSONICは藤くんも使っており、組み込み精度や塗装品質の評価が高いです。

値段は、GIBSONカスタムショップ以下、GIBSONレギュラーライン以上という感じです。(TOKAIはレギュラーラインより安いモデルもあります。)

相場は?新品と中古どっちがおすすめ

Gibsonのレスポールスペシャルはレギュラー品の新品で15万円程。中古だと7万円~12万円程度です。筆者は中古ギターが好きなのですが(高いグレードのものが安く手に入るため。)初心者の方は前述のEpiphoneレスポールスペシャルの新型を新品で買うと良いでしょう。

CTSのポットが搭載されていて、バーブリッジ、バインディング付き&太めのネックグリップで実売価格4万円弱は正直すごすぎです。サブギターとして十分手の届く範囲だと思うので、初心者ではなくても次の一本を探している方にもおすすめです。

予算が17万円以上ある方は中古でヒスコレを狙うのがおすすめです。中古なので状態に気をつける必要はありますが、ヤフオクやメルカリを見張っていれば新品より割安で狙えます。

スペシャルはどんな音楽に向いている?使用アーティストも紹介

レスポールスペシャルは軽量さやアコースティックな音色から、ボーカリストが弾くギターとして有名です。

使用アーティストにはユニコーンの奥田民生やBUMP OF CHICKENの藤原基央、サンボマスターの山口隆、miwa、愛美(愛美さん演じるアイマスのキャラも!)、渡辺香津美がいます。

 

海外のギタリストだとボブマーリーやロニーウッド、ラリーカールトン がいます。

筆者のレスポールスペシャルを紹介!

ヤフオクで中古17万円程で購入。Gibson Historic collection Les paul special 2001。
フレットが減っているとはいえ格安でした。

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カスタムショップ限定ケース

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かっこいい‥近年のヒスコレはこんなに黄色くないんですよね。2000年代前半までは黄色くてかっこいいんですが、2000年代後半から2010年代のものはくすんだ灰色がかっています。

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当時の保証書と乾燥剤。

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Gibsonロゴ。シルクスクリーンは経年劣化で薄くなっていますがOK

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指板にも妙な汚れなし。スタンダードとは異なるドットインレイ

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スペシャル専用ピックガード。

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背面にはバックル傷。全然気にしません。

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2001年製の190本目レスポールスペシャルであることの証明。シリアルの解読方法は過去に投稿したレスポール・スタンダードの記事を御覧ください。

当時廉価版の位置づけであったレスポール・スペシャルは、レスポール・スタンダードのように独立したグリーンペグではなく作業を簡素化するための3連白ペグが搭載されました。

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レスポール・スタンダードとのネック比較。比較的肉厚であるとされる 59よりもスペシャルのほうが厚みがあるのが確認できると思います。

 

Gibsonレスポール・スペシャルの派生モデル

もともとレスポール・スタンダードの廉価版という位置づけだったレスポールスペシャルは、日本で爆発的な人気を誇ります。

 

みなさんもご存知BUMP OF CHICKENの藤原基央がメインギターとして使用しているからです。

 

ドンピシャ世代であった自分も例にもれず、ギターを始めた当時このギターが欲しくてたまりませんでした。

 

中1の自分は内職でお小遣いを稼ぐしかできず(時給完全500円くらい)、到底カスタムショップのレスポールスペシャルは買えず。

 

ギター・マガジンに掲載されていたレスポールスペシャルのレギュラー品を購入することになります。 それがこちら。

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Gibson Les paul Special Ⅱ

正真正銘のギブソンではあるものの、独立したミニグローバーペグ、ノイズ対策で新開発されたP100ピックアップ、バーブリッジではなくオクターブ調整もできるチューンOマティックブリッジというスペック。

何故か本家スペシャルよりもコストがかさむ仕様のレギュラーラインモデルです。このギターを大事に使い藤くんになりきっていました。

 

その後ギブソンは緑ロゴ、バインディング廃止、フェイデッド仕様のレスポールジュニアスペシャルを出したり、バーブリッジなんだけど緑ロゴのままのレスポールスペシャルをリリースしたりしましたが藤くんのレスポールスペシャルとはなんか違う‥

 

結局本物を買うしかないと諦め、今回入手した形になります。

たまたま、藤くんのレスポールスペシャルと175番違いのモノを手に入れられて非常にラッキーでした。適当にクランチで弾いてみたので、よかったら見てみてください。